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また、ウィスコンシン州では環境教育の細かな達成目標として35個の基本方針(Environtal Education Princip1es)というものがある。これは、1976年に発表された連邦の諸機関間の委員会報告書に基づいてウィスコンシン州立大学等で用いているものである。
この基本方針は、
●天候及び気候、水循環、生物圏、海洋科学●生態系と社会の相互作用に対する人類の影響●人口増加と技術、それらが生態系の変化に及ぼす影響●生態系に影響を及ぼす人間のニーズと価値観●生態系の変化の原因と結果●行動の実施
といったものが主だったテーマに取り上げられている。(第2章参照)
これら35項目の基本方針を授業で実際に達成していくために、州内の学校区のひとつ、ウィスコンシンラピッズ学校区では、学習テーマと環境教育の基本方針の関係対照表(表3−1)を作成している。この関係対照表では、学年・教科別の学習テーマごとに、どの基本方針を達成できるかを示したものである。たとえば、小学校3年生の理科の水循環を学ぶ時間には、環境教育の基本方針の「天候及び気候、水サイクル、生物圏」を学ぶことができ、小学校5年生の社会科の「今日の地域的、全国的、国際的な出来事の重要性と、それらの出来事が個人にどのように影響するか」を理解する時間には、「生態系と社会の相互作用に対する人間の影響」を併せて学ぶことができることが関係表からわかる。
ウィスコンシンラピッズ学校区では、このような関係表を作成して通常の授業の中でどのように環境教育を統合していけるのかを示し、現場教員が環境教育を進める際の手助けとしている。

 

また、近年日本でも徐々に増えてきているが、アメリカ合衆国では多くの民間企業やNG0(Non-Governmetal Organization)が環境教育の教材集をすでに出版している。しかし、多くの教材の中からそれぞれの教科と学習テーマに適したものを見つけだして、適切に生徒を指導していくことは大変困難であり、手間がかかることである。そこで、ウィスコンシン州立大学では、「Avoiding Infusion Confusion(統合の混乱を防ぐために)」というハンドブックを出している。同書は、特に優れた教材集の中で、35の基本方針を教えるために適したアクティビティーを学年、教科別に整理し、基本方針との対照表となっている(表3−2)

 

 

 

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